用語辞典 【あ行】

ディスプレイ  用語辞典 【あ行】

アイコン 【 icon 】

アイコンとは、コンピュータの操作画面で、処理の対象や内容などを一定の大きさの小さな絵や図、記号などで表現したもの。
利用者はマウスやタッチパネルなど位置を入力する装置を用いて画面上のアイコンを指定し、コンピュータに実行内容の指示などを行う。大きさなどはソフトウェアによって異なるが、それぞれのシステムごとに規定された決まった大きさ(縦横数十ピクセル程度)の正方形に揃えられ、複数の項目を縦横に整然と並べて表示するようになっていることが多い。脇に項目名を添えて表示したり、マウスカーソルを合わせると短い説明が表示されたりする場合もある。

どの絵が何を表すかはソフトウェアによって異なり、何の機能や対象を表しているのか直感的に連想しやすいものになるよう工夫されているが、コンピュータに特有な事項や抽象的な事柄などは絵や図に表すのが難しく、慣れていない人が一見しても何のことか伝わらないことも多い。また、多くのソフトウェアで共通する機能などについては慣用的に同じような図柄が採用されることが多い。

アイコンは操作画面を画像や図形で構成するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の主要な構成要素であり、キーボードなどから文字で指示を入力する方式に比べ、文字入力が不慣れな人や命令文などを覚えていない初心者でも容易に操作内容を指示できる。

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キーボード 【 keyboard 】 KB

キーボードとは、キー(key、鍵)と呼ばれる小さなボタンが規則正しく並び、これを手指で押し下げて操作する装置のこと。
音楽の分野では、ピアノのように細長い鍵(けん)が横一列に並んだ楽器(の操作部分)を意味し、「鍵盤」とも呼ばれる。コンピュータの分野では、正方形や横長の小さなボタンが縦横に整然と並び、文字や記号、コンピュータへの指示などを送信するための入力装置のことを指す。

一般的な製品には100前後のキーが4~5段に渡って並んでおり、各キーの上面(キートップ)に入力される文字や機能などが記されている。文字や記号を入力するキーは小さな正方形になっていることが多く、特殊な機能を与えられたキーは横長になっていることが多い。キートップに指先などで触れて押し込むことで、そのキーが押されたという信号がコンピュータへ送信される。

文字キーにはアルファベットやアラビア数字、記号などが割り当てられており、日本国内で使用される装置にはかな文字が刻印されているものもある。一つのキーには通常複数の文字が割り当てられており、単に打鍵したときと、「Shift」キーを押しながら打鍵したとき、かな入力モードで打鍵したとき、などのように使い分けられる。

文字キー以外に特殊な文字の入力や機能の呼び出しを行うためのキーがあり、スペース(空白)文字を入力するスペースキー(横長のためスペースバーとも呼ばれる)や、タブ文字を入力するTabキー、選択のキャンセルなどを行うEscキー、現在地の文字の削除などを行なうDeleteキー(Delキー)、「↑」など矢印の刻印された方向キー(矢印キー)など様々な種類がある。

また、他のキーと組み合わせて(同時に押して)使用するためのキーは修飾キーと呼ばれ、別の文字を呼び出すShiftキーや、文字キーをソフトウェアの機能の呼び出しに用いるCtrlキー(Controlキー)やAltキーなどがある。WindowsパソコンにしかないWindowsキーやMacにしかないCommandキーなど、機種固有の特殊なキーもある。

キーの並び方にはいくつかの標準があり、アルファベットの配列は「QWERTY」と呼ばれる並べ方が標準的に用いられる。パソコン向けにはこれに記号や特殊キーを追加した101型(英語圏向け)や、さらに日本語入力用のキーを追加した106型や109型などの規格がよく用いられる。かな文字の配列の標準としてはJIS配列や親指シフト配列(NICOLA配列)などがよく知られている。

キートップ (keytop)
キーボードの各キーのスイッチ部分を覆う、プラスチックやゴムなどでできたカバーのこと。また、その上面。キーの名称や入力される文字を表す文字や記号が刻印されていることが多い。

一般に、キーボード装置は平たい基板の上にそれぞれのキーに対応するバネやスイッチを組み合わせた装置が並べられ、その上からキートップを被せた構造となっている。利用者がキートップを指で押し込むことで、その下にあるスイッチが押され、キーの入力を知らせるの電気信号が発せられる。

文字キーのキートップにはそのキーが押されることによって入力される文字や記号が刻印されている。複数並んでいることもあり、Shiftキーと同時に押した時に入力される文字や、(日本語キーボードで)かな入力モードで押した時に入力される文字を表している。キーボードを見ずに入力を行うタッチタイピング(ブラインドタッチ)の際に、指の位置がホームポジションにあるかどうか見なくても分かるよう、「F」キーと「J」キーのキートップには小さな突起が設けられていることが多い。

特殊キーや修飾キーのキートップには、キーの名称や役割を表す短い単語や略語、記号などが記載されており、スペースキーのキートップには何も刻印されていないことが多い。キー操作に習熟した上級者向けの製品の中にはすべてのキーのキートップが無刻印のものもある。

キーピッチ (key pitch)
キーの大きさの表す指標の一つで、キーの中心から、隣のキーの中心までの距離のこと。

盤上のキーには様々な大きさ・形状が混在しているが、キーピッチは最も多い正方形の文字キーの横幅を表し、通常は1.5cmから2cm程度に設定されていることが多い。キーピッチが長過ぎるとキー同士が離れすぎて指の移動量が増えて打ちづらく、逆に短すぎるとキー同士が接近しすぎて打ち間違いやすくなる。

一般にデスクトップ型のコンピュータに接続する独立したキーボード製品はキーピッチは長めでゆったりと作られており、ノートパソコンなどの場合は狭いスペースにたくさんのキーを並べるために短めに作られていることが多い。

メカニカルキーボード (mechanical keyboard)
キーの内側に機械式のスイッチやバネが仕込まれているキーボードのこと。キーを打つときに「カチカチ」というクリック感と打鍵音を伴うため上級者に人気がある。機構が複雑で高価なため、打鍵感にこだわりを持つ上級者向けの高級品として販売されている。パソコンの付属品などの製品は、おわん状に成型したゴムと配線パターンを印刷した樹脂製シートを組み合わせた安価なメンブレン式が多い。最近では機械式のスイッチなどを使わずに同様の打鍵感を実現している製品もあり、これらは本来は含まれないが、こうした製品も含めカチカチという打鍵感のある製品の総称の意味で用いられることが多い。

メンブレンキーボード (membrane keyboard)
2枚の導電シートの間に穴の空いた絶縁シートを挟み、キーが押されると上下の接点が触れ合うことでキー入力を検知する構造のキーボード。膜状のシートを挟みこむ構造からこの名がついている。

構造が簡単で安価に製造できるため、多くのパソコンで採用されている。キーストロークを確保するためのバネとなる弾力機構としては様々な種類のものがあるが、大別するとラバードームを使用したものとスプリングを使用したものに分類される。

このうち、ラバードームを使用したものは安価に製造できるというメリットがあるが、材質的に耐久性に弱く、メカニカルキーボードの耐用回数が平均2,000万回以上であるのに対し、平均500万回以上と寿命が短いというデメリットがある。

また、ラバードームでは安価なものほどゴムの弾力がダイレクトに指先に戻ってくるので、疲れやすく、長時間のタイピングには向かない。ラバードームを使った製品では特に構造が簡単になるので、分解して接点シートを取り外せば、キートップや筐体そのものを水洗いできるものもあり、メンテナンスが容易にできるというメリットもある。

パンタグラフキーボード (pantograph keyboard)
各キーの下に棒状の部品を組み合わせたパンタグラフ型の伸縮機構を内蔵したキーボード。

鉄道車両の上に乗っている集電装置のパンタグラフに似た原理の装置を一種のバネ(スプリング)として利用したもの。キーの中心以外を押しても均等に力が伝わり、軽い打鍵感でしっかりと押すことができ、動作音も小さい。キーの高さを抑えることができ、従来より平らなデザインにすることができるため、ノートパソコンなどでよく用いられる。

アイソレーションキーボード (isolation keyboard)
キーとキーの間隔が通常より広く、隙間が枠で塞がれているタイプのキーボード。

キー同士が密着していてキー間が隙間になっている通常タイプの製品と異なり、個々のキーを小さくして間隔を大きく開け、隙間の部分がプラスチックなどでできた枠になっている。隙間から内部にゴミが落ちにくく、爪の長い人でも(上の段のキーを同時に押してしまうなどの)ミスタイプをしにくくなるといったメリットがある。また、近年、Apple社やソニーがノートパソコンなどに採用したことから認知度が高まり、スタイリッシュなイメージが定着している。

キーパッド (keypad)
キー(key)と呼ばれるボタンの並んだ入力装置の一種で、多数のキーの並んだ汎用的なキーボード装置と異なり、特定の用途に特化した小型の装置のこと。

電卓のように数字や算術記号だけが並んだ「テンキーパッド」(10キーパッド)が最も有名で、コンピュータ本体側にテンキーがないノート型などの機種に接続して高速に数値データを入力するのに用いられる。単にキーパッドといった場合はテンキーパッドを指すことが多く、リモコンや電話機の数字が並んだ箇所や、金庫やロッカーの暗証番号入力装置などのことをキーパッドということもある。

また、ゲームの操作に特化して片手で打鍵できる範囲に10~20個程度のキーが配された小型の入力装置のことをキーパッドということがある。パソコンでゲームを遊ぶ際に接続して利用するもので、どのキーをどのような操作・入力に対応させるかをゲームごとに利用者が設定(カスタマイズ)でき、複雑なコマンドなどを素早く入力するために用いられる。家庭用ゲーム機などに付属する、方向指示装置や数個のボタンの並んだいわゆるコントローラのことをキーパッドあるいはゲームパッドと呼ぶこともある。

ワイヤレスキーボード (wireless keyboard)
コンピュータ本体との接続に赤外線や電波による無線通信を用いるキーボード。機器の配置の自由度が高く、本体からある程度離れた場所で使用することもできる。

コンピュータ本体とケーブルで接続する一般的な製品と異なり、電波や赤外線による無線通信により接続する。ケーブルを通じて本体側から給電することができないため、電源として乾電池や充電池を使用する製品が多い。

多くの製品は一般的なコンピュータで利用できるように、筐体背面などにあるUSBなどのケーブル端子に受信機(レシーバー)を差し込み、キーボードとレシーバーが無線で通信する方式となっている。コンピュータ自体が無線通信に対応している必要はなく、コンピュータやソフトウェア側からは一般的なケーブル接続の製品のように扱うことができる。

Bluetootキーボード (BTキーボード)
パソコン本体との接続にBluetoothによる無線通信を用いるキーボード。ワイヤレスキーボードの一種で、約10mまで離れて利用することができる。

ノートパソコンや携帯情報機器などに内蔵されたBluetoothインターフェースに直接接続することができるが、デスクトップパソコンなどの場合はUSB接続のBluetoothアダプタを介して接続し、パソコン側ではUSB機器として認識させる場合もある。

キーボードライト (keyboard light)
ノートパソコンなどに搭載されている、キーボードを照らすための小さな電灯。液晶画面上部などに埋め込まれており、開いた時に上から照らすようにできている。暗いところで使用するときに手元を照らし、誤入力を減らすことができる。USBを電源として利用する外付けの製品も存在する。

キーボードカバー (keyboard cover)
キーボードを保護するために上にかぶせるカバー。使わない時にかぶせておくためのカバーと、使用時にかぶせたまま打鍵できるようキーの形状にフィットした半透明の樹脂製のカバーがある。キーの配置や形状は製品ごとに微妙に異なるため、後者の場合は製品にあったカバーを選ぶ必要がある。

エルゴノミックキーボード (ergonomic keyboard)
身体への負担が小さく、長時間使っても疲労しにくいように設計された特殊な形状のキーボード。

キーが端から端まで直線的に配置されている一般的な製品と異なり、左手側と右手側に分割してそれぞれ傾斜して配置したり、波打つように曲線的に配置したりする。また、手前側に手首や掌を支えるための領域を設けたり、立体的に湾曲させて奥側のキーを通常より高く配置したりといった工夫をしている製品もある。

打鍵中もなるべく手の形や位置を自然の状態に近いよう保ち、手首や指、腕などに力がかからないよう配慮されている。長時間使用しても疲れにくく、日常的に大量の文章を打ち込む職業の人でも腱鞘炎などになりにくい。

ソフトウェアキーボード (スクリーンキーボード/オンスクリーンキーボード)
コンピュータへの文字入力の方式の一つで、画面上に表示された文字盤から入力したい文字を一文字ずつ指示する方式。キーボードがなかったり標準的でない環境で文字入力を行うために用いられる。家庭用ゲーム機で昔からよく利用されてきた方式で、近年ではスマートフォンの標準的な文字入力方式として普及している。

パソコンやゲーム機など、マウスやコントローラーなどで操作する場合、画面に小さな矢印や手などの形で示されるポインタやカーソルを操作し、入力したい文字の位置に合わせてボタンを押すことで入力を行う。スマートフォンやタブレット端末など、指やペンで画面に触れて位置を指示するタッチパネル(タッチスクリーン)を用いる場合、画面に表示された文字の中から入力したいものに触れる。

キーボードロック (keyboard lock)
利用者が席を外している間に他人にコンピュータを操作されないように、一時的にキーボードやマウスなどを操作できないようにする機能。

スクリーンセーバーなどの形で提供され、あらかじめ本人が設定したパスワードを入力しないと通常の操作画面に戻れないようになっている。明示的に呼び出して使うほかに、一定時間入力がないと自動的にロック機能が起動するよう設定できる場合もある。

USB端子に差し込むキーによってロックの解除を行うタイプのものもある。学校では、ネットワークを利用して教師のコンピュータから生徒のコンピュータの入力を一括してロックできるソフトが使われていることがある。

PC/AT互換機ではBIOSレベルでハードウェア的にロックする仕様があり、本体に鍵を取り付けることが可能なパソコンもあった。しかし、現在ではソフトウェアによるロック機能が主流で、物理的な鍵が付属するパソコンはほとんどない。ただ、高度なセキュリティが要求されるサーバにはこれらの機能が備わっているものもある。

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出力 【 output 】 アウトプット

出力とは、対象から外部に何かが出てくること。また、出てきたもの。装置や回路、ソフトウェア、システムなどから信号やデータ、電力など何かが出てくること全般を指す。
コンピュータにおける出力といった場合には、外部の機器などへ信号やデータを送り出したり、何らかの装置や手段を用いてコンピュータ内部の情報を人間に認識できる形で提示することを指すことが多い。ディスプレイ装置で画面表示を行ったり、プリンタで紙面などへ印刷したり、スピーカーやイヤフォンで音声を鳴らしたりといった動作がこれに該当する。コンピュータが人間に向かって出力を行うための装置を「出力装置」(output device)と総称する。

一方、対象に外部から何かを入れることや、入れるものを「入力」(input)という。出力と入力は対になる概念で、両者を合わせて「入出力」(I/O:Input/Output)と総称することもある。

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しゅつりょくそうち
出力装置 【 output device 】 アウトプットデバイス / 出力機器 / 出力デバイス

出力装置とは、コンピュータ(や実行中のプログラム)からデータを受け取って、人間に認識できる形で外部に物理的に提示する装置。光の像を投影して画面を映し出すディスプレイ(モニタ)やプロジェクタ、紙などに印字・印刷を行うプリンタやプロッタ、音声を発するスピーカーやイヤフォンなどがこれに該当する。
主に人間の視覚や聴覚に働きかける原理の機器が多いが、振動で情報を知らせるバイブレーターや、ゲームコントローラーなどで操作感(押しやすさ、回しやすさなど)を状況に応じて変化させるフォースフィードバック機構など、触覚を利用する装置もある。映画館や体験型アミューズメント施設などに見られる、映像に合わせて霧や風を吹き出す装置なども広義には含まれる。未だ研究段階ながら、香り(触覚)や味(味覚)を動的に合成してコンピュータからの出力とする装置も構想されている。

これに対し、人間や環境、外部の機器から情報を取り込んでデータとしてコンピュータに伝える装置を入力装置(input device)といい、キーボードやマウス、タッチパネル、ゲームコントローラ、マイク、イメージスキャナ、各種センサーなどが含まれる。出力装置と合わせて入出力装置(I/O device)と総称することもある。イヤホンマイクやプリンタ複合機など、入出力の両方の機能を一体的に提供する装置もある。

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アウトラインフォント 【 outline font 】

アウトラインフォントとは、文字の形をコンピュータ上で表現するフォントデータの形式の一つで、字形を基準となる点の座標や輪郭線を表す曲線のパラメータの集まりとして表現したもの。
文字の輪郭を、角や端の点の位置と、点を結ぶ直線や曲線を表す方程式の係数などを列挙して表現したもので、表示・印刷する際には計算によって字形を求め、縦横に規則正しく並んだ画素の集合に変換(ラスタライズ)する。拡大や縮小、変形などを行っても形が崩れず、常に一定の品質で表示・印字することができる。具体的な縦横の画素数とは無関係な形式でデータが定義されるため、大きさによらずデータ量が一定となる。

一方、表示・印刷のたびに計算・変換処理を各文字について行わなければならず、複雑なソフトウェアや高い処理能力が必要だが、現在ではコンピュータの処理能力が向上したため、広く一般的に用いられている。

似た形式に、線の太さや輪郭の概念がなく、字形を(中心線の)直線・曲線のパラメータの集合として表現する「ストロークフォント」(stroke font)あるいは「ベクターフォント」(vector font、ベクトルフォント)があり、アウトラインフォントと合わせて「スケーラブルフォント」(scalable font)と総称することがある。これに対し、文字の形状を縦横に規則正しく並んだ画素の集合として表したものを「ビットマップフォント」(bitmap font)あるいは「ラスターフォント」(raster font)という。ビットマップ形式はスケーラブルではなく、拡大・縮小すると形が崩れたり線が階段状に醜く変形したりする。

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アクセス 【 access 】

アクセスとは、接近(する)、到達(する)、手が届く、利用可能にする、入手可能にする、接近手段、利用機会、入手方法、交通手段、などの意味を持つ英単語。
ITの分野では、機器やソフトウェア、システム、情報などを利用(操作、取得、閲覧、読み書きなど)可能な状態にすることをアクセスという。特に、コンピュータのストレージ装置(外部記憶装置)内に保存されたデータを読み出したり、上書きや削除などを行うことをアクセスということが多い。

また、通信回線やネットワークを介して別のコンピュータや機器を操作可能な状態にしたり、管理下にある情報などを取得、閲覧、編集などできるようにすることをアクセスという。

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アクセス回線 【 access line 】 足回り回線 / アクセスライン
別名: アクセスネットワークaccess network

アクセス回線とは、広域の通信回線網を構成する回線のうち、通信事業者の拠点施設と加入者宅・施設を結ぶ回線のこと。末端までの最後の短い区間という意味合いで「ラストワンマイル(回線)」と呼ばれることもある。
自社で設備を所有・運用する通信事業者は、エリア内に通信拠点となる施設を整備し、拠点間を高速・広帯域な回線(基幹回線/バックボーン回線)で相互に結ぶ。この拠点施設から各加入者までの間を個別に結ぶ通信回線をアクセス回線と呼んでいる。

有線通信の場合
有線通信(固定回線)の場合には、加入者宅から最寄りの通信局まで、地下(洞道)や空中(電信柱)を伝って敷設されたメタル回線(被覆した金属線)や光ファイバー回線などがアクセス回線にあたる。日本ではNTT地域会社(古くは逓信省や電電公社など国の機関)が保有する回線網や、CATV(ケーブルテレビ)事業者が放送のために設置したもの、電力系通信会社が敷設したものなどがある。

無線通信の場合
無線通信(移動体通信)の場合には、加入者の持つ携帯電話などの端末から、街中に設置された基地局までの電波による無線通信区間のことをアクセス回線という場合と、これに加えて複数の基地局からの回線を束ねてバックボーン回線へ接続する拠点的な施設までの有線区間を含めてアクセス回線という場合がある。

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アスペクト比 【 aspect ratio 】 縦横比

アスペクト比とは、画面や画像の縦と横の長さ(ピクセル数)の比。一般的には「横:縦」と表記する。
かつてのアナログテレビ放送やテレビ受像機、ビデオ映像などは4:3が標準だったが、デジタル放送やハイビジョン放送への移行に伴って映画のアスペクト比だった16:9が導入され標準となった。

コンピュータの画面は8:5や4:3、5:4など様々なアスペクト比が用いられるが、近年ではパソコンでテレビやビデオを試聴する機会が増えたこともあり、16:9かそれに近い横長のアスペクト比が増えている。

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値 【 value 】

値とは、コンピュータプログラム中で処理の対象となる単一のデータ。何らかのデータ型を持ち、一定の書式や制約に従って記述・処理される。
「10.0」「“abc”」のようにリテラルや即値(イミディエイト)としてコード中に直に記載されたものと、「a+b」「s+“xyz”」のようにコード中に書き表された式を評価・計算した結果として表されるものがある。

値は変数に代入したり取り出したりすることができ、言語によっては名前をつけて定数として扱うこともできる。コンピュータ内部のメモリ上では何らかのビット列として表されるが、どのような値がどのようなビット列に対応するかは言語やデータ型によって異なる。

ちなみに、英語の “value” には値という意味の他に、価値、価格、評価(する)、値打ち(感)などの意味があり、カタカナで「バリュー」といった場合にはこちらの意味であることが多い。

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データ圧縮 【 data compression 】

データ圧縮とは、データを一定の計算手順で加工し、実質的な内容を損なわずにより短い符号列で表すこと。原則として得られた圧縮符号は逆の計算手順により元のデータに復元することができ、データの一部を損なって容量を減らす削減や間引きとは異なる。
同じ情報を短いデータ長で表現することで、記憶装置上で占有する領域を小さくすることができ、また、機器間をより短い時間や少ない回線の占有度で伝送することができる。ただし、圧縮後の符号列は元のデータを扱う処理系では利用できないため、使用前に必ず元の状態に戻す処理(解凍、伸長、展開などと呼ばれる)が必要となる。

圧縮処理や解凍処理に費やされる計算量や計算時間などと引き換えにデータ量の縮減という成果を得ており、両者が見合わなければ圧縮を行う意義は失われる。例えば、データ伝送を高速化するためにデータ圧縮を導入したのに、圧縮、伝送、解凍の合計時間が元データの伝送時間を上回ってしまっては元も子もない。

圧縮の逆変換の呼称
圧縮(compress)後の符号列から元のデータを復元する逆方向の変換処理のことを英語では “decompress” (compressに否定の接頭辞de-を付したもの)というが、日本語では定まった訳がなく、解凍、伸長、展開などの用語が用いられる。

ファイルのアーカイバでは複数のファイルを一つの圧縮ファイルにまとめることが多いため、その中から指定されたものを取り出して元の状態に戻すことを「抽出」ということもある(英語でもこの文脈では “extract” を用いる)。

日本では1980年代にパソコン通信やファイル圧縮ソフトの付属文書などを通じて「解凍」という用語が広まった(対応して圧縮のことを凍結と呼ぶこともあったがこれは広まらなかった)ため、慣用的に解凍と呼ぶことが多いが、本来の語義として圧縮と解凍では意味が対応しておらず、解凍には容積の増減の意味はないことなどから批判も多い。

一方、伸長や展開は、伸ばす、広げるという意味は合っているが、圧縮の逆の動作としての元に戻すという意味合いは薄いとの批判もあり、あまり定着していない。

圧縮率と圧縮比
どのくらい圧縮できたかを圧縮率という用語で表すことがある。より小さい量に圧縮できたことを「圧縮率が高い」という。

実際には二つの異なる指標が圧縮率と呼ばれており、一つは圧縮後のデータ量の元のデータ量に対する比率、もう一つは削減量の元の量に対する比率である。いずれを指すのかは文脈により異なる。圧縮後にデータ量が元の10分の1になったことを、前者の指標では圧縮率10%、後者では90%と表現する。

一方、圧縮前と後のデータ量の比や倍率で圧縮の程度を表すこともあり、データ圧縮比と呼ばれる。10分の1に圧縮したことを10:1あるいは10倍と言い表す。

可逆圧縮と非可逆圧縮
完全に元のデータに戻せる符号列に変換する方式を「可逆圧縮」、元のデータの一部を削除・変形することで高い圧縮率を得る代わりに完全には元に戻せなくなる方式を「非可逆圧縮」あるいは「不可逆圧縮」という。

可逆圧縮はわずかでもデータの一部が異なれば元とはまったく違う意味になってしまう文字(テキスト)データやコンピュータプログラムの圧縮や汎用のファイル圧縮などで用いられ、通常単にデータ圧縮といえば可逆圧縮を指す。

非可逆圧縮は主に画像や音声、映像など元のデータに大きな情報の冗長性が含まれる対象に用いられる。人間の視覚や聴覚の特性を利用して、人間が気づきにくい形でデータの一部を改変・削除することで、劇的な高圧縮率を得ることができる。

元の情報を損なう変換を伴うため、非可逆圧縮は厳密にはデータ圧縮手法の一部ではないとする立場もある。また、非可逆圧縮アルゴリズムの中には、元データの形式変換や加工(この段階ではデータ長の縮減は伴わない)を行った後、データ圧縮自体は連長圧縮などの可逆圧縮により行う(すなわち、「非可逆」の工程では圧縮していない)ものも多い。

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データ圧縮率

データ圧縮率とは、データを圧縮した際に、圧縮後のデータが元のデータのどのくらいの情報量に減ったかを表す割合。圧縮後の量の元の量に対する割合を100倍したパーセンテージで表すことが多いが、削減された量の元の量に対する割合とすることもある。
例えば、100MBのファイルが10MBに圧縮された場合、10/100の0.1(百分率で10%)を圧縮率とする場合と、(100-10)/100の0.9(同90%)を圧縮率とする場合がある。前者は値が小さいほどより少ない量に圧縮できていることを表し、後者はその逆である。いずれの場合でも慣例的に、より少ない量に圧縮された(よく圧縮できた)状態を「圧縮率が高い」、多い量に圧縮された(あまり圧縮できなかった)状態を「圧縮率が低い」と言い表す。

データ圧縮比
圧縮前と圧縮後の情報量を比で表したものを「データ圧縮比」ということがある。100MBを10MBに圧縮した場合はこれを10:1、あるいは比の値である10倍と表す。この値が高いほどより小さく圧縮できていることになる。

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アダプティブビットレート (ABR:Adaptive Bit Rate)

ネット上で動画や音声のストリーミング配信を行う際に、視聴者の通信環境に応じて自動的にコンテンツの品質・サイズを変更することができる方式を「アダプティブビットレート」という。また、そのような配信方式を「ABRストリーミング」(ABR streaming)という。

一般的な配信システムでは複数の品質を用意して視聴者が選択する方式が多いが、回線容量を超える品質を選択してしまい正常に視聴できなかったり、途中で回線が混雑して途絶え気味になってしまったりすることある。ABR方式ではソフトウェアが回線状況を監視して、再生中でもその時点で最適な品質に動的に変更することができる。

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アップスケーリング 【 upscaling 】 アップコンバート / upconversion / アプコン

アップスケーリングとは、映像を元の大きさよりも多い画素数に変換すること。映像を構成する画素自体を増大(拡大)する処理と、アスペクト比(縦横比)調整のために領域の付け足しや切り捨て、変形などを行う処理があり、両者を組み合わせることが多い。
映像信号や映像データは走査線の数や縦横の画素数といった映像自体のサイズが記録時に決まっているが、これを再生時の環境(表示装置の画面サイズや操作画面上での表示領域の大きさなど)に合わせて引き伸ばす処理をアップスケーリングという。

例えば、縦横がそれぞれ2倍の領域に表示するには、画素数を縦横にそれぞれ2倍に増やせばよいが、単純に元の1画素の色情報を4画素(縦2画素×横2画素)に写しただけでは、正方形が連続したモザイク状の映像となってしまう。

このため、一定の演算手法により周囲の色情報と滑らかに連結するよう追加する画素の色を調整する処理が行われる。これによりモザイク状の表示自体は解消されるが、情報量が増えるわけではないため、全体に輪郭の不明瞭なぼんやりした映像となることは避けられない。文脈によっては、このような拡大時の色情報の補間処理のことを指してアップスケーリングと呼ぶ場合もある。

領域の増減・変形
また、拡大時に縦横比が元と異なる場合に、領域自体の増減や変形を行うこともある。例えば、アナログテレビ放送時代のSD映像(4:3)からDVDやデジタルテレビ放送などのHD映像(16:9)へ変換すると、元より横長の映像にしなければならないため、このような処理が必要となる。

よく行われるのは、元の映像の左右に縦長の帯状の領域(表示内容は黒一色とすることが多いが色を付けたり文字や画像などを置くこともある)を追加して横幅を広げる「サイドパネル」あるいは「ピラーボックス」、元の映像の上下をカットして横長にする「上下カット」、拡大時に各画素を正方形ではなく横長の長方形に引き伸ばす「アナモフィック」(アナモルフィック)などである。

アナモフィック変換はもともと横長の映像が潰されて縦長になっている場合(HD→SDへのスクイーズ変換など)には元の形状に復元できるが、元が4:3の映像を16:9に引き伸ばせば映像自体が横に引き伸ばされた歪んだ形になってしまう。

アナログテレビ放送時代に発売されたワイド型テレビの中には、受信したSD映像をワイド画面全体に表示するため、中央に近い領域はほとんどそのままで、画面の左右端に近づくほど画素を大きく横に引き伸ばす特殊なアナモフィック変換を標準の表示モードとするものもあった。視聴者の注意や主要な被写体は中央付近に集まっていることが多いため、左右端が大きく歪んでいてもあまり気にならないという心理的な特性を利用している。

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アップストリーム 【 upstream 】 上り

アップストリームとは、「上流へ」という意味の英単語で、ITの分野ではネットワークなどで末端側から中心側へ向かう方向を表す。その方向に流れるデータや信号、それらの通信速度を指したり、中心側の領域や機器などを指すこともある。
通信ネットワークで利用者に近い末端側の端末やクライアントなどから、中心側の拠点施設や集線装置、サーバなどへ向かう情報の流れをこのように言う。慣用的に「上り」と訳されることも多い。無線通信や衛星通信では「アップリンク」(uplink)ともいう。逆方向は「ダウンストリーム」(downstream)という。

固定系の公衆回線網(アナログ電話網や光ファイバー網など)では、個々の加入者宅から通信事業者の施設や設備(通信局など)へ向かう方向が、無線系の回線網(携帯電話網など)では利用者の通信端末から無線基地局などへ向かう方向が、それぞれアップストリームに当たる。

構内ネットワーク(LAN)などでは、個々の端末やパソコンなどからルータやスイッチ、バックボーンネットワークなどへ向かう方向が、クライアントサーバ方式の情報システムではクライアントからサーバへの流れが、それぞれアップストリームとなる。

上りと下りの周波数帯域や通信速度が同じであるような通信方式を「対称通信」、異なるような方式を「非対称通信」という。電話などの音声通話は基本的に対称だが、インターネットを利用する際は一般に下りのデータ量の方が多いため、データ通信回線・サービスは下りのほうが速い非対称通信になっていることが多い。

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パッチ 【 patch 】 アップデータ / updater / パッチファイル / patch file

パッチとは、継当て(する)、あて布(を貼る)、傷当て、眼帯、斑点、切れ端、小区画、中継、鎮める、などの意味を持つ英単語。
ITの分野では、ソフトウェアを構成するプログラムやデータを更新・修正するために、新しい版との相違点(差分)を抜き出したデータのことをパッチという。ファイルの形にまとめることが多いため「パッチファイル」とも呼ばれる。パッチを反映させて最新の状態に更新することを「パッチを当てる」「パッチを適用する」などという。

大規模なソフトウェアなどでは、小さな修正や改良を行う度に全体を入れ替えるのは効率が悪いため、修正点だけを抜き出してパッチを作成し、これを既存のソフトウェアに組み込むことで修正を行うという手法がよく用いられる。パッチは開発元や販売元からインターネットなどを通じて利用者に無償で配布されることが多い。

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アップデート 【 update 】 UD / アプデ

アップデートとは、更新(する)、改訂(する)、最新の状態にする、という意味の英単語。
コンピュータに内蔵あるいは保存されたプログラムやデータを、開発元や販売元の発行する最新版を入手して入れ替え、更新することをアップデートという。また、そのための差分データや修正版のプログラムなどのことをアップデートということもある。

ソフトウェアやシステムの小規模な更新、修正、改良、不具合の解消などのために行われることが多い。これに対し、大規模な改善や機能追加、基幹部分の刷新などを行った新しい版(バージョン)や、そのような新版への入れ替えのことは「アップグレード」(upgrade)と呼ばれる。

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Adobe 【 アドビ 】

Adobeとは、米国のソフトウェア企業の一つで、プロフェッショナル向け画像編集ソフトウェアなどの世界最大手。正式社名は “Adobe Incorporated” で、本社は米カリフォルニア州サンノゼ。1982年創業。“adobe” は日干しレンガの意。
業務用途の画像処理やグラフィックス編集、デジタル印刷製版(DTP:Desktop Publishing)関連の製品に強みを持ち、近年ではWebコンテンツ制作のためのソフトウェアにも力を入れている。

主な製品
代表的な製品はフォトレタッチソフトの定番である「Adobe Photoshop」(フォトショップ)、ベクタ画像作成・編集ツールの定番である「Adobe Illustrator」(イラストレーター)、DTP編集ソフト「Adobe InDesign」(インデザイン)などで、これらを含むパッケージ製品「Adobe Creative Cloud」(Adobe CC)を登録利用者に月額料金制で提供している。

環境を問わず文書を同じように表示・印刷できる文書ファイル形式である「PDF」(Portable Document Format)や、その作成・編集や出力に用いられる「Adobe Acrobat」(アクロバット)および「Acrobat Reader」もインターネット上の文書配布の事実上の標準として広く普及している。

また、ベクタ画像(図形)のアニメーションを中心とする複合的なWebコンテンツやWebアプリケーションを作成・公開できるWebブラウザ拡張機能「Adobe Flash」(フラッシュ)および「Flash Player」「Adobe AIR」にも注力し、この分野では支配的な影響力を持っていたが、こちらは2020年限りで終息することが発表されている。

歴史
米ゼロックス(Xerox)社のパロアルト(Palo Alto)研究所に在籍していたジョン・ウォーノック(John Warnock)氏とチャールズ・ゲシュケ(Charles Geschke)氏が1982年に独立して「Adobe Systems」(アドビシステムズ)社を創業した。

当初は、主に当時の米アップル・コンピュータ(Apple Computer/現Apple)社のMacintosh(マッキントッシュ/現Mac・macOS)システム向けに、PhotoshopやIllustratorなど現在にも続く定番商品を含むグラフィックやデザイン関連のソフトウェアを開発・販売していた。

その後、これらのソフトのWindows版の投入や動画編集ソフト「Adobe Premiere」(プレミア)などにより業容を拡大、PDF/Acrobatによってインターネット分野にも進出する。2005年にはデジタルコンテンツ作成ソフト大手の米マクロメディア(Macromedia)社を買収し、FlashやDreamweaver(ドリームウィーバー)、ColdFusion(コールドフュージョン)などWeb関連のソフトウェアを大幅に強化した。

2012年には、Photoshopなどを含む主要なソフトウェア製品の買い切り型が販売方式を打ち切り、全面的に購読型(サブスクリプション制)へ移行、月に一定額の使用料金を支払っている期間だけ手元のソフトが起動する仕組みとなった。

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Adobe Acrobat 【 アドビアクロバット 】

Adobe Acrobatとは、米アドビシステムズ(Adobe Systems)社が開発・販売している、PDF形式の文書ファイルの作成や編集を行うためのソフトウェア。Windows版とmacOS(Mac OS X)版があり、PDFファイルの閲覧のみに機能を限定した「Acrobat Reader」は無償で配布されている。
PDF(Portable Document Format)は同社が開発した文書ファイルの形式の一つで、閲覧側のソフトウェア環境の違いに影響されずどこでも同じように表示・印刷できるのが大きな特徴。コンピュータで作成した文書の配布形式として広く普及している。

Adobe Acrobatは同社によるPDF作成などのためのソフトで、プリンタドライバのようにOSに組み込まれ他のアプリケーションソフトの印刷機能を利用してPDFファイルを出力することができる。

PDFファイルの編集機能もあり、文章などを表示されたフォントのまま編集したり、文書本体の上に注釈を書き入れたりすることもできる。元になったファイルがMicrosoft Office形式(Word/Excel/PowerPoint)の場合は元のファイル形式に戻すこともできる。

2015年からはAdobe Document Cloud(Adobe DC)製品群の一環として「Adobe Acrobat DC」が正式名称となっているが、現在でも慣用的にAdobe AcrobatあるいはAcrobatと呼ばれることが多い。

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Adobe Illustrator 【 アドビイラストレータ 】

Adobe Illustratorとは、米アドビ・システムズ(Adobe Systems)社の図形描画・編集ソフト。主にベクタ形式の図形や文字などを組み合わせて図表やイラストレーション、デザインなどを作成する「ドローソフト」と呼ばれる分野の標準的な存在となっている。
ベクタ画像は画像を図形要素の組み合わせとして表現する形式で、点と線(直線・曲線)、矩形や円などの幾何学図形、領域の塗りつぶしやパターンの貼り付けなどを組み合わせて画像を構成していく。写真や絵画のような緻密な自然画の表現はできないが、変形や形状(輪郭)の調整、拡大・縮小が容易で、サイズに依らず常に高品位な出力を得られる特徴がある。

Adobe Illustratorはキャンバスに図形や文字を描画したり、任意に配置した複数の点を結ぶ自由曲線(ベジェ曲線)を描くことができる。どの要素も後から位置やサイズ、色、線の太さなどの属性を自由に変更することができる。後から機能を追加できるプラグイン機構を備えており、同社や他社から多彩な追加ソフトが提供されている。

作成したデータは独自のAI形式(.aiファイル)として保存されるが、SVGやEPS、PDFなどベクタ画像のファイル形式に標準で対応している。特定の画像サイズや解像度などを指定して、JPEGやGIF、PNGなどビットマップ形式のファイルに書き出す機能もある。

Adobe Illustratorは主に出版・印刷・デザイン業界などで業務用に用いられ、紙面やラベルなどのデザインやその構成要素となるロゴやタイポグラフィ、イラストレーションの作成などに使われる。写真編集などに用いるAdobe Photoshopと共に定番のグラフィックスソフトの一つとして長年に渡りプロに愛用されている。

最初のバージョンは1986年に当時のアップル・コンピュータ(Apple Computer)社のMacintosh(マッキントッシュ)向けに発売され、デザイン業界で広く受け入れられた。2003年には「Illustrator CS」が正式名称となり、同社のデザイン関連ソフトウェアの統合パッケージ「Adobe Creative Suite」(Adobe CS)の構成要素の一つと位置づけられるようになった(単体購入も可能)。

2013年には「Illustrator CC」に再び改称され、同社製ソフトウェアの利用権を期間毎に購入するサブスクリプション方式のサービス「Adobe Creative Cloud」に組み込まれた。パッケージの店頭販売は原則行われなくなり、同社サイトからソフトウェアをダウンロード後、一定期間分の利用料金を支払うことで起動できるようになる。

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Adobe Photoshop 【 アドビフォトショップ 】

Adobe Photoshopとは、米アドビ・システムズ(Adobe Systems)社の画像編集ソフト。主に写真などのビットマップ画像を編集・加工する「フォトレタッチソフト」と呼ばれる分野で事実上の標準となっている著名なソフトウェア製品である。
画像の描画や編集のための豊富な機能を備え、多彩なブラシやペン先を用いた図形やフリーハンドによる描画、特定の箇所の切り抜きや複製、貼り付け、複数の画像の合成、色調や明るさ、コントラストなどの調整や変更、特殊効果を施すフィルタ、複数の層(レイヤー)を組み合わせて一枚の画像を構成する機能などが利用できる。後から機能を追加するプラグインの機構を備えており、同社や他社による様々な追加機能が販売・公開されている。

独自の画像形式としてPSD形式(.psdファイル)を規定しており、情報を欠くこと無く完全な状態で保存するにはこの形式を用いる必要がある。同時に、JPEG、GIF、PNG、BMP、TIFF、EPSなど様々な形式の画像データの読み込み・書き込みにも対応しており、プラグインにより対応形式を増やすこともできる。

主に出版・印刷・デザイン業界などで業務用に用いられ、写真の加工からデザインやイラストレーションの作成まで幅広い用途に用いられる。高度な機能などを制限した個人向けの廉価版(Photoshop Elements、Photoshop LEなど)も提供されており、デジタルカメラ製品などに同梱されている。

最初のバージョンは1990年に当時のアップル・コンピュータ(Apple Computer)社のMacintosh(マッキントッシュ)向けに発売され、デザイン業界ではAdobe Photoshopを利用するためのMacを導入するほどの人気を博した。2003年には「Photoshop CS」が正式名称となり、同社のデザイン関連ソフトウェアの統合パッケージ「Adobe Creative Suite」(Adobe CS)の構成要素の一つと位置づけられるようになった(単体購入も可能)。

2013年には「Photochop CC」に再び改称され、同社製ソフトウェアの利用権を期間毎に購入するサブスクリプション方式のサービス「Adobe Creative Cloud」に組み込まれた。パッケージの店頭販売は原則行われなくなり、同社サイトからソフトウェアをダウンロード後、一定期間分の利用料金を支払うことで起動できるようになる。

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フラッシュプレーヤー
Flash Player 【 フラッシュプレーヤー 】

Flash Playerとは、米アドビシステム(Adobe Systems)社が各種Webブラウザ向けに開発・配布している拡張機能(プラグイン)の一つで、Adobe Flash形式のコンテンツを再生・実行するためのもの。
Flashは同社が開発したソフトウェアおよびファイル形式で、ベクター形式の画像の表示やアニメーション、利用者の操作に応じたコンテンツの動的な変化などを行うことができる。Flash形式のアニメーションやアプリケーションはインターネットを通じてWebブラウザにダウンロードして実行されるが、ブラウザは標準ではFlash形式には対応していないため、同社が提供するFlash Playerを組み込む必要がある。

Flash Playerは同社のWebサイトなどで無償配布されており、誰でも自由に入手してコンピュータに導入することができる。Windows、macOS(Mac OS X)、LinuxなどのOSに対応し、Internet ExplorerやMicrosoft Edge、Apple Safari、Mozilla Firefox、Google Chromeなど主要なWebブラウザに対応している。Internet Explorer 10以降やEdge、Chrome 5以降などは標準でFlash Playerが組み込まれた状態で配布されており、更新なども内部で自動的に行われるようになっている。

バージョンアップや不具合の修正があると修正版が配布され、導入済みのシステムは同社サイトを通じて自動的に更新される。2010年代には深刻な保安上の弱点(セキュリティ脆弱性)が頻繁に発見され、更新が繰り返された。

AndroidやiOSでは当初は対応していたが途中から非対応となり、スマートフォンやタブレット端末の大半でFlashの再生はできなくなった。Adobe社ではFlash開発環境の「Adobe Flash」を「Adobe Animate」に改名し、独自のFlash形式に換えてHTML5などの標準規格を全面的に採用するよう方針転換しており、Flash Playerも2020年にサポート終了とすることを決めている。

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ブイジーエーたんし
VGA端子 【 VGA connector 】 VGAコネクタ / アナログRGB端子

VGA端子とは、コンピュータからの映像信号の出力などでよく用いられるコネクタの一つで、アナログRGB信号を入出力するD-Sub15ピンのコネクタのこと。
パソコンとディスプレイ装置の間の接続などによく用いられるもので、D-Sub規格の3列15ピンの形状の端子(DE-15、ミニD-Sub15)で、RGB(赤緑青)の各色に対応するアナログ映像信号や垂直・水平同期信号などを送受信することができる。VGA規格のグラフィックス機能を持ったPC/AT互換機などで標準的に用いられてきたためこのように呼ばれる。

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エーディーコンバータ
A/Dコンバータ 【 ADC 】 Analog-to-Digital Converter / A/D変換器

A/Dコンバータとは、アナログ信号をデジタル信号に変換する電子回路。連続量であるアナログ電気信号の強度を一定時間ごとに記録(標本化、サンプリング)し、その値を一定のビット数の値で表現する(量子化)。
単位時間あたりの標本化の回数をサンプリング周波数(サンプリングレート)と呼び、毎回の標本データを表現する値のビット数を量子化ビット数という。これらの値が大きいほどアナログ波形をより正確にデジタルデータの集合として記録できるが、単位時間あたりの記録に必要なデータ量は増大する。

A/Dコンバータとは逆に、デジタルデータを元にアナログ信号を生成する電子回路のことをDAC(D/Aコンバータ、デジタルアナログ変換器)

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アニメーションジフ / アニメーションギフ
アニメーションGIF 【 animation GIF 】 動画GIF / アニメGIF

アニメーションGIFとは、画像形式の一つであるGIF(Graphics Interchange Format)の拡張仕様の一つで、動画を保存することができる形式。ファイルの標準の拡張子は通常のGIF画像ファイルと同じ「..gif」。
一つのGIFファイルの中に複数(多数)の静止画像を保存し、これを次々に連続して描画することにより動画として表示することができる。各コマの切り替え時間やループの有無なども設定することができる。GIF形式に対応した画像編集ソフトで作成することができ、GIF形式の表示に対応したソフトウェアの多くで再生できるなど、特別なソフトウェアが必要な本格的な動画形式よりも取り扱いが容易な点が人気となっている。

ただし、本来はアイコンなどの画像にアニメーションによる演出効果や動きを付け加える用途などを想定して開発されたもので、あくまでGIF画像を連結しただけの簡易な仕様であるため、通常の動画形式のように音声を扱うことはできず、また、使用できる色数も通常のGIF画像と同じ各コマ256色までといった制限がある。

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アプリケーションソフト 【 application software 】 アプリ / 応用ソフト
別名: アプリケーションプログラムapplication programappliappappsapl

アプリケーションソフトとは、ある特定の機能や目的のために開発・使用されるソフトウェア。「アプリケーション」(application)あるいは「アプリ」(app、apps)と略されたり「応用ソフト」と訳されることもある。
用途や目的に応じて多種多様なアプリケーションソフトがあり、日常的に利用される代表的なものだけでも、ワープロソフトや表計算ソフト、画像閲覧・編集ソフト、動画・音楽再生ソフト(メディアプレーヤー)、ゲームソフト、Webブラウザ、電子メールソフト、カレンダー・スケジュール管理ソフト、電卓ソフト、カメラ撮影ソフト、地図閲覧ソフトなどがある。

企業などの業務で使われる、プレゼンテーションソフトやデータベースソフト、財務会計ソフト、人事管理ソフト、在庫管理ソフト、プロジェクト管理ソフト、文書管理ソフトなどもアプリケーションソフトの一種である。

アプリケーションソフトの中でも、ファイルやフォルダの圧縮・解凍や、コンピュータウイルスの探知・駆除、記憶装置(メモリ・ストレージ)管理など、システムや他のソフトウェアの機能を補ったり、性能や操作性、安全性を向上させたりするものは「ユーティリティソフト」(utility software)という(アプリケーションソフトとは別の分類とする場合もある)。

これに対し、コンピュータのハードウェアに対する基本的な制御機能や、様々なソフトウェアが共通して利用する機能をまとめたソフトウェアは「オペレーティングシステム」(OS:Operating System、基本ソフト)と呼ばれる。また、OSとしての制御機能は持たないが、多くのアプリケーションソフトが必要とする特定分野のまとまった機能を提供するソフトウェアは「ミドルウェア」(middleware)と呼ばれる。

アプリケーションソフトは利用者が配布・販売パッケージを入手・購入してOSに組み込む作業を行うことで使用可能となる。この作業を「インストール」(install、installation)という。OS製品の中にはいくつかのアプリケーションソフトがあらかじめ組み込まれているものもある。

アプリケーションソフトという用語や分類は、パソコンのように利用者が目的に応じて後からソフトウェアを追加して使用できる汎用コンピュータについて主に用いられ、組み込みソフトウェア(家電の制御ソフトなど)や特定用途の専用コンピュータなどでは、OSなどのシステム系のソフトウェアとアプリケーションソフトの区別や境目が明確でない場合もある。

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しゅうしょくキー
修飾キー 【 modifier key 】 装飾キー / モディファイアキー

修飾キーとは、キーボードのキーの種類の一つで、他のキーと一緒に押すことで、入力される文字や機能などを一時的に変更するためのキー。WindowsパソコンのキーボードではShiftキーやControl(Ctrl)キー、Altキー、Windowsキー、アプリケーションキーなどが該当し、Mac用キーボードではShiftキーやCommandキー、Optionキーなどが該当する。
修飾キーを押しながら他のキーを押すことで、単体で押した時とは異なる入力を行うことができる。例えば、アルファベットキーを押すと小文字が表示される状況で、Shiftキーを押しながらキーを押すと、大文字を入力することができる。また、多くのソフトウェアでは、Controlキー(やCommandキー)と押さえながらCキーを押すと、現在選択されているデータがクリップボードにコピーされるようになっている。

修飾キーは単体で押しても基本的には何も起きないが、WindowsキーやAltキーなど、単体で押しても何らかの機能が呼び出される場合もある。

Shiftキー (シフトキー)
キーボードの修飾キーの一つで、キー上面(キートップ)に「Shift」と刻印されたものをShiftキー(シフトキー)という。太い上矢印(↑)が併記されていることもある。通常はキーボードの下から2段目の左右端に一つずつ配置され、他のキーより横長の形状になっていることが多い。

基本的に単独で押しても何も起きず、Shiftキーを押しながら他のキーを押すことでそのキーの文字や機能を切り替える修飾キー(modifier key)として使用する。Shiftキーを押しながら英字キーを押すと大文字・小文字が入れ替わり(通常時は大文字になる)、数字・記号キーを押すとキートップに記されたもう一つの記号(「1」キーの場合は「!」)が入力される。

他のキーやマウスのボタン、ホイール操作などと組み合わせて、特殊な動作や機能を素早く入力するために利用されることも多く、他のCtrlキーやAltキーなど修飾キーと組み合わせて用いられることもある。

Ctrlキー (コントロールキー/Controlキー)
キーボードの修飾キーの一つで、上面(キートップ)に「Control」「Ctrl」などと刻印されたものをCtrlキー(Controlキー/コントロールキー)という。キーボードの左右端などに一つまたは二つ配置されることが多い。

基本的に単独では使用せず、他のキーと組み合わせてソフトウェアの機能を呼び出すのに使われることが多い。どのキーと組み合わせるとどのような動作をするかはソフトウェアごとに決められているが、多くのソフトウェアで共通する標準的な組み合わせもある。

例えば、CtrlキーとCキーの同時押し(Ctrl+C、Ctrl-Cなどと表記する)は現在選択している内容のクリップボードへのコピーを、Zキーの同時押しは直前の操作を取り消すアンドゥ(undo)を意味することが多い。

Altキー (オルトキー/アルトキー)
キーボードの修飾キー(特殊キー)の一つで、キー上面(キートップ)に「Alt」と刻印されたものをAltキー(オルトキー/アルトキー/Alternate key/オルタネートキー)という。キーボードの最下段、スペースキーの両脇などに二つ配置されていることが多い。

基本的に単独では使用せず、他のキーと組み合わせてソフトウェアの機能を呼び出すのに使われることが多い。Windowsの場合、単独で押すとメニューバーを選択状態にするという機能が割り当てられていることが多い。

Windowsキー (Windowsロゴキー)
主にWindowsパソコン(PC/AT互換機)向けのキーボードにあるキーの一つで、キー上面(キートップ)にWindowsのロゴマークが記されたものをWindowsキーあるいはWindowsロゴキーという。Windowsの機能を素早く呼び出すために用いられることが多い。

一般的なキーボードでは最下段の左右やどちらか一方に配されていることが多い。Windowsを使用中に単独で押すとWindowsのスタートメニューが開く。他のキーに機能を付与する修飾キーとしても使われ、標準設定のWindowsでは「Win+E」(Windowsキーを押しながら同時にEキーを押す)でWindowsエクスプローラの起動、「Win+D」でデスクトップの表示、などの機能が割り当てられている。

アプリケーションキー (メニューキー)
Windowsパソコンに付属するキーボードの多くに配置されているキーの一つで、メニューの上に乗ったマウスカーソルの図柄がキートップに刻印されているものをアプリケーションキー(application key)あるいはメニューキー(menu key)という。キーボード最下段の右側に配されていることが多い。

このキーを押すとマウスの右ボタンをクリックしたのと同じ動作をするようになっているが、ソフトウェアによっては別の機能を割り当てられている場合もある。106キーボードにWindowsキー2つとアプリケーションキーを追加したものを109キーボードという。

Commandキー (コマンドキー/Appleキー/アップルキー)
Apple社のMac用のキーボードに配されているキーの一つで、キートップに四つ葉のクローバーに似た専用の記号(“⌘”)が刻印されているものをCommandキー(コマンドキー)あるいはAppleキー(アップルキー)という。最下段のスペースキーの左右に一つずつ配されている場合が多い。Windowsパソコン向けのキーボードを使う場合はWindowsキーで代替することが多い。

他のキーと組み合わせて特別な入力を行なう修飾キーの一つで、操作中のソフトウェアの機能をマウスを使わずに打鍵のみでダイレクトに呼び出すのに使われる。どのキーと組み合わせるとどの機能を実行できるかはソフトウェアによって個々に定義されているが、例えば、Commandキーを抑えながら“C”キーを押すとコピー、“S”キーを押すと保存、“Q”キーを押すと終了、などのように割り当てられていることが多い。

Appleキーと呼ばれることがあるのは、古い製品ではApple社のロゴ(かじられたリンゴのマーク)も一緒に刻印されていることがあるため。

Optionキー (オプションキー)
Apple社のMac用のキーボードに配されているキーの一つで、キートップに「Option」あるいは専用の記号が刻印されているものをOptionキー(オプションキー)。「Alt」と記されていることもある。最下段の左右に一つずつ、Commandキーの隣に配されている場合が多い。Windowsパソコン向けのキーボードを使う場合はAltキーで代替することが多い。

他のキーと組み合わせて特別な入力を行なう修飾キーの一つで、Optionキーを抑えながら文字キーを押すことで特殊な記号を入力したり、メニューの項目を選択することで特殊な項目を表示したりすることができる。

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アンチエイリアス 【 anti-aliasing 】 スムージング

アンチエイリアスとは、コンピュータで文字や図形を描画・表示する際に、斜線や曲線などに発生する微細な階段状のギザギザした部分(ジャギー)を目立たなくする手法。輪郭の色と背景色の中間色を段階的に配置する。
コンピュータでは画面や画像を色の付いた格子(画素/ピクセル)が縦横に規則正しく並んだものとして表現するため、線や輪郭が斜めになったり曲がったりしている部分は画素を階段状に並べて擬似的に表現する。図形部分の色(前景色)と背景色のコントラストが大きいと、このような部分のギザギザした様子が目立ってしまう。

アンチエイリアスでは境界部分にある各画素について、本来なら前景色であるはずの領域の面積と背景色であるはずの面積を勘案して中間色を割り出し、背景側に向かって前景色から次第に背景色になっていくように段階的に着色していく。これにより、境界の画素の一部が様々な濃度の中間色となり、より自然な斜線や曲線に見えるようになる。

アンチエイリアスの弊害
文字などを表示するときに画素数が少ない場合にも滑らかで美しい表示とすることができるが、単純な描画や表示よりも処理に時間がかかり、色数が増大するため保存・伝送する場合にデータ量が大きくなることがある。また、小さな文字や画像などに適用すると中間色が適用される領域の割合が大きくなりすぎ、ぼやけて不鮮明な状態になることがある。

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ノングレア 【 non-glare 】 アンチグレア / anti-glare / 非光沢 / 反射防止

ノングレアとは、ディスプレイ装置などの表示面に光を拡散する処理・加工を施し、外光の写り込み現象(グレア)を抑止すること。また、そのような加工を施した液晶ディスプレイなどの表示パネル。
表面に細かな凹凸をつけるなどして反射光を適度に拡散させ、鏡のように像の映り込みが起きたり、太陽や照明の光がくっきり反射して見難くなる現象が起きにくくする。ただし、画面が発する光もある程度拡散してしまうため、ノングレア加工でない製品に比較すれば発色が不鮮明になったり像がぼやけたりしてしまう。

屋外で使用することの多い携帯電話やノートパソコンなどでノングレア型の画面が好まれ、室内で固定的に使用されるテレビや据え置き型の液晶ディスプレイ装置などでは発色のよい光沢型の製品が好まれる傾向にある。スマートフォンなどの液晶画面の上に貼り付けてノングレア化するシートやシールなどの製品もある。

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アンドロイド
Android 【 アンドロイド 】

Androidとは、米グーグル(Google)社が開発した、スマートフォンやタブレット端末など携帯情報機器向けのオペレーティングシステム(OS)。主にスマートフォンのOSとして広く普及しており、世界的に米アップル(Apple)社の携帯機器向けOSであるiOSと市場を二分する。
携帯機器のハードウェアの管理や、携帯電話網(3Gや4Gなど)や無線LAN(Wi-Fi)などの通信・通話の制御、利用者への表示・操作環境(ユーザーインターフェース)の提供、ソフトウェアの実行制御などを行う。

パソコン向けOSなどとは異なり、利用者がAndroid自体を入手して端末に導入することは稀で、端末メーカーが機種ごとに調整したAndroidを独自に用意し、端末にすでに組み込まれた状態(プレインストール済み)で出荷する。各メーカーや携帯電話事業者(携帯キャリア)が開発したソフトウェアがあらかじめ内蔵されていることも多い。

Android標準のユーザーインターフェースは用意されているものの、ホーム画面や日本語入力ソフトなどOSとしての基本的な操作画面もメーカーが独自開発したものに置き換えることが多いため、同じAndroidでもメーカーや機種によって見た目や操作感が大きく異なることが多い。

Androidアプリ
Androidを導入した端末はパソコンと同じように汎用のコンピュータ製品として使用でき、外部からアプリケーションソフト(「アプリ」と略されることが多い)を追加して実行することができる。通話や設定、SMS(ショートメッセージ)、電子メールの送受信、内蔵カメラによる撮影、Webブラウザ(Androidブラウザ)など基本的なアプリは標準で内蔵しているが、端末メーカーが独自開発したものと置き換えられている場合もある。

アプリはパソコンなどから直接取り込むことができるほか、インターネットを通じてアプリの販売や配布を行うアプリストアへ接続して入手する方法もある。標準のアプリストアとしてGoogle社の運営する「Google Play」(グーグル・プレイ)が用意されているが、端末メーカーや携帯キャリアなどが独自に用意したストアを利用することもできる。

表示・操作
基本的な操作手段として、指先や専用のペン型装置(タッチペン)で画面に触れて位置を入力するタッチパネル方式を採用している。基本的なタッチ操作として、指示したい位置に軽く触れてすぐ離す「タップ」(マウスのクリックに相当)、タップを素早く二回繰り返す「ダブルタップ」(マウスのダブルクリックに相当)、触れたまま画面をなぞる「スワイプ」(マウスのドラッグに相当)、二本の指で触れて近づけたり離したりする「ピンチ」(表示の拡大・縮小を指示)などがある。

操作画面は上から三つの領域に分割されており、上段の細長い部分が各種の状態表示や通知などが表示される「ステータスバー」、中段が実行中のソフトウェアが使用する表示領域、下段の細長い部分が「戻る」ボタンやホームボタン、アプリの切り替えボタン(マルチタスク)の三つが並んだ「ナビゲーションバー」(初期のAndroidには存在せず画面下に物理的なボタンが並んでいた)となっている。

起動時に最初に表示されるOSの基本の操作画面としてホームスクリーン(ホーム画面)が用意され、GoogleによるWeb検索が行える検索バーや日付・時計、よく使うアプリのアイコンが並んでいる。アイコンをタップすると対応するアプリを起動することができる。アプリの表示中にホームボタンを押すとすぐにホーム画面に戻ることができる。

構造・機能
OSの中核部分にはオープンソースとして公開されているLinuxカーネルに手を加えたものを採用しており、その上にソフトウェアの実行環境(ランタイム)や携帯機器での動作や操作に必要なライブラリ、フレームワークなどが組み込まれている。機器に搭載されるAndroidそのものとは別に、Android対応ソフトウェアを開発するためのツール類も提供される。

世界で使用される様々な携帯電話・移動体データ通信方式(GSM、W-CDMA、CDMA2000、LTE、LTE-Advancedなど)での通話や通信に対応しており、無線LAN(Wi-Fi)やBluetooth、USB、SDメモリーカードなどによる通信や入出力にも対応する。携帯機器の多くに内蔵されているGPS(全地球測位システム)や加速度センサーなどの機能を利用することもでき、端末の傾きを計測して画面の向きを自動的に回転させるとといった制御にも対応する。

Androidを構成するプログラムはApacheライセンスと呼ばれる利用規約に基づいてオープンソースソフトウェアとして公開されており、誰でも自由に入手、修正、再配布などをすることができる。携帯機器が内蔵するAndroidはオリジナルのものに開発元が機種固有の改変を加えている場合もある。

対応するマイクロプロセッサ(CPU/MPU)の機種は当初はARM系のみだったが、MIPS系やx86系にも対応している。多くのパソコン向けOSなどと異なり、各アプリのプログラムはJava言語の仮想マシン向けの中間コードで構成されるため、Androidが実行時に機種の違いを吸収し、どの機種でも同じように実行してくれる。

Dalvik VMとART(Android Runtime)
Android上でのソフトウェアの基本的な実行環境はJava言語のプログラムを実行できるJava仮想マシン(JVM:Java Virtual Machine)のカスタム版で、Android 4.0までは「Dalvik VM」(ダルビック)が、5.0以降は「ART」(Android Runtime)が標準となっている。

いずれもスマートフォンやタブレット端末など、パソコンやサーバに比べメモリ容量やプロセッサ性能に制約のある環境で高速に動作するよう最適化されている。

Dalvik VMは機能的には他の多くのJVMに類似するが、内部のバイトコードやクラスファイルの形式はJava自体のものとは異なり、厳密にはJVMではない。本来のJava環境向けのクラスファイルを実行できるよう独自形式(DEX形式)に変換するソフトウェアが開発ツールに同梱されている。

ART(Android Runtime)はAndroid 5.0(Lollipop)でDalvikに代わって標準となった仮想マシンで、新たにAOT(Ahead-Of-Time)コンパイラを採用してアプリを実行前(インストール時など)に機種ごとに固有のネイティブコードに変換することができるようになった。コンパイル済みのコードはJIT(Just-In-Time)コンパイラで変換しながら実行するより高速に動作する。

開発環境
アプリはAndroid向けに調整されたJava言語を用いて開発できるが、他のプログラミング言語からもAndroidの仮想マシンが実行できるプログラム形式に変換するソフトウェアが数多く提供されている。2017年頃からはJavaに代わって「Kotlin」(コトリン)言語がAndroid開発の標準的な地位を獲得している。

標準の統合開発環境(IDE:Integrated Development Environment)として「Android Studio」(アンドロイド・スタジオ)が提供されているが、開発ツールやライブラリなどをまとめたAndroid SDK(Software Development Kit)も用意されており、他のIDEなどを使って開発することもできる。XamarinやApache CordovaのようにiOSと共通のプログラミング言語およびコードで開発できる開発環境もある。

開発環境としてパソコンなど非Android環境を用いるクロス開発が基本となるため、Android端末での動作を開発環境上で確認できるよう、「AVD」(Android Virtual Device)と呼ばれる端末エミュレータが同梱されている。実機に送ってテストする前にパソコンなどである程度の動作確認を行うことができる。

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アンマウント 【 unmount 】 ディスマウント / dismount / デマウント / demount

アンマウントとは、コンピュータに接続された装置(や、装置に挿入された記憶媒体など)をOSなどの管理下から切り離し、取り外し可能な状態にすること。マウント解除。
コンピュータ本体に接続した機器をソフトウェアに認識させ、操作・利用可能にすることを「マウント」(mount)というが、アンマウントとはこれとは逆の操作で、接続状態を終了し、物理的に装置を取り外してもよい状態にする。アンマウント操作を行うとソフトウェアから装置は見えなくなり、繋がっていない状態と同じになる。再度認識させたい場合は一旦端子などを外して再び接続する。

記憶装置などでは、アンマウント操作を経ずにいきなり端子や記録メディアを外すと、記録状態の整合性が破壊されたり媒体が破損したりする恐れがあるため、OSなどからアンマウント手続きを実行してから取り外しを行う必要がある。

ちなみに、 “mount” という単語には上がる、登る、取り付けるなど一般的な動詞としての意味もあるが、その対義語として用いられるのは “dismount” (降りる、外す)、あるいは “demount” (取り外す)で、“unmount” は上記のコンピュータの専門用語の意味しかない。

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